head_img_slim
日本の伝統工芸TOP > 伝統工芸品辞典 > 京扇子(京都府)

京扇子(京都府)とは?

京扇子(京都府)(ふりがな: きょうせんす、英語: Kyoto Folding Fan、仏語: Éventail pliant de Kyoto)は、京都府で生産される伝統的な扇子で、1000年以上の歴史を持つ日本の工芸品です。和紙や竹などの自然素材を使い、繊細で美しいデザインが特徴です。扇子は、日常の涼をとる道具だけでなく、舞踊や茶道、能などの日本文化において重要な役割を果たしてきました。京扇子はその芸術性と機能性から国内外で高く評価されています。

京扇子の歴史と特徴

京扇子の歴史は、平安時代にまで遡ります。10世紀頃に日本で発明されたとされる扇子は、当初は貴族や武士の間で使用されました。その後、実用性と美しさを兼ね備えた道具として広く普及し、茶道や舞踊などの芸能や儀式で重要な役割を果たすようになりました。特に、京扇子は京都の文化や美意識を反映したものとして、繊細な装飾やデザインが特徴的です。

京扇子の製作工程は、約80以上の工程からなり、職人の手作業によって丁寧に仕上げられます。と呼ばれる扇子の骨組みにはが使われ、軽量で強度を持ちながらも繊細な装飾が施されます。和紙や絹などで作られる扇面には、絵師や職人による手描きの美しい模様が描かれ、伝統的な日本の風景や季節花鳥風月などのモチーフが多く用いられます。

京扇子は、その用途に応じて様々な種類があります。日常使いの扇子としては、紙扇竹扇が一般的で、茶道や能楽、舞踊などの伝統芸能では舞扇能扇が使われます。これらの扇子は、単なる道具としてだけでなく美術品としても鑑賞されることが多く、その絵柄や装飾には職人の高度な技術が凝縮されています。

また、京扇子のデザインは、四季折々の風景日本の伝統的な美意識を反映しており、季節に合わせて異なるデザインが選ばれます。春には、夏には流水、秋には紅葉、冬には雪景色などが描かれ、持ち主の感性や趣味を表現する道具としても愛されています。

京扇子の製作には、伝統的な技法が重んじられ、職人たちは手作業で一つ一つ丁寧に製作を行います。まず、扇骨の製作では、を細かく削り、美しい曲線を作り出します。次に、扇面には和紙や絹が使われ、手描きの絵柄金箔、銀箔などの装飾が施されます。最後に、扇面と扇骨を組み合わせる工程が行われ、美しい折り目バランスが求められます。

京扇子は、高温多湿の夏を涼しく過ごすための実用的な道具であると同時に、優雅な装飾品としても楽しむことができます。日本文化に深く根ざし、贈答品お土産としても重宝されてきました。

代表的な窯や工房

1. 白竹堂

白竹堂は、1718年創業の老舗で、300年以上の歴史を誇る京扇子の工房です。伝統的な技法を守りつつ、現代的なデザインも取り入れており、優雅で洗練された扇子を提供しています。特に、舞扇贈答用扇子が人気です。

2. 藤井扇庵

藤井扇庵は、伝統技法を忠実に守る工房で、高品質な京扇子を製作しています。手描きの絵柄金銀箔を施した扇子が特に評価され、茶道や能楽などの伝統芸能で使用される扇子を多く手がけています。

3. 宮脇賣扇庵

宮脇賣扇庵は、1823年創業の老舗で、職人の手作業による繊細な技術で知られています。日常用の扇子から舞扇まで幅広いラインナップを揃えており、現代のライフスタイルにも合わせたデザインが特徴です。

現在の世界的な評価

京扇子は、日本文化の象徴として国内外で高く評価されています。特に、手作業による美しい装飾高度な技術が、ヨーロッパやアメリカをはじめとする海外でも人気があります。美術品としての価値が認められ、ギャラリーや博物館で展示されることも多く、日本の伝統美を世界に発信する工芸品として広く知られています。また、現代のデザインを取り入れた京扇子は、ファッションアイテムとしても注目を集めています。


ページトップに戻る